「Jenkins実践入門」読んだ(あとカエル本も)
発売日前に献本頂いていたんですが,ようやっと読めたので感想をば。あと同じくポチっていたけど,これまた読めてなかった「Jenkins: The Definitive Guide(以降,カエル本)」についても。
そもそもカエル本は,著者が中の人って事もあり,はっきり言ってチート本です。初心者おことわり。それに対して「Jenkins実践入門」は,その名の通り入門書なんで間口は広いです。なので,両者を比較するのが間違っている気もしないでもなし。
#カエル本は春に翻訳本出るようですね。→ O'Reilly Village/オラの村 - 『Jenkins』日本語版出版に向け、翻訳進行中!
「Jenkins実践入門」は,すでにある程度Jenkinsを使い込んでいる人たちには,ちょっと物足りないところがあるかもしれませんが,読んでて思った「こいつの本命は9章以降だ!」と。本持っている人はページ開いてみるとわかるけど,12章構成なのに9章が総ページ数のちょうど半分くらいなんだよね。
なんで,1〜8章まではJenkins初心者向な趣だけど,ウチらみたいな中級者は9章以降おいしくいただけます。
著者の佐藤さんも言ってますがビルドそのものについては深く触れられてません。この辺は微妙で,ビルドそのものから語りはじめるとJenkinsにたどり着く前にページが無くなる可能性が高いので,Jenkins入門って切り口だと,こうするしかないよなと思います。
なお「Mavenは華麗にスルー」って指摘もありますが,サンプルプロジェクトがMavenベースだと4〜8章の分量は半分以下になりますよね。カエル本の「Ch.2 Your First Step with Jenkins」に相当すると思うのですが,あっちは30ページくらいで一通り説明し終わるから。
Mavenって型にハマると,ものすごく何もすること無いのよね。
で,その容易さはMavenの話だから,Maven知ってないとちっともピンと来なくて。そうなると,Mavenどんだけ使われてるだろうって話になるので,こうゆう形に落ち着いたのはよくわかる。
Maven挫折しといてどの口が...と言われそうだけど,実のところMavenベースの場合,Jenkinsで何を語ればいいのだろうか正直ピンと来ない。
#逆説的だけど,Maven普段使いできる技量がある人だったらJenkins本要らないよね。:-)
それと意外かも知れませんが,Trac/Redmine連携の話はカエル本には書いてないです。受け入れテスト(Acceptance tests)もカエル本は具体的な事は書いてなかったな。Jenkins実践入門では遠慮がちにSeleneseの事言ってましたが,あたしはSelenese好きですよ。なので,SeleniumGridよりSeleniumHqを取り上げたのはポイント高いです。
他の違いは,プラグインの開発について触れているのも実践入門だけ。Jenkinsのプラグイン開発は意外とハードル高いので,入門部分であっても紙で読めるってありがたいことよ。
...とか書いたら、カエル本の翻訳版ではプラグイン開発について加筆されるみたい。あれれ。
話は変わって,Jenkinsの運用管理や,分散ビルドのような高度なビルドになってくると組織的なバックアップがあってこそ書けるのだなと,みょうな安心感を感じてしまうなど。:-)
去年のHudson勉強会のとき,半ば確信したのだけれど,世のビルド職人は孤独に雪かき仕事をしておりCIサーバ立てるのが精一杯で,分散ビルドまで含めたビルドシステムの構築などおとぎ話だろうなと。
実際,あたし自身が落ち穂拾い的にCIサーバ立てているので,この辺(分散ビルド)とか試せる環境にないんですよね。
それを書籍にまとめられるくらいに検証できてるって,そんだけでもスゴイ世界だなと。ちなみにカエル本は,さらに上を行ってて,EC2やCloudBees使う事まで言及してるのよね。
とは言え「分散ビルドすげー」って話以前に,そんな大げさなビルドする対象が無いってのもあるんですけどね。カエル本や川口さんお気に入りのビルドプロモーションも,スゴさは分かるけど用途がピンと来ないというか。まあ,やる気になりゃなんでもできるんだなってのは分かった。
さすらいのビルド職人として,開発プロジェクトごとに小規模なCIサーバ立てるくらいだけど,そんでも「僕の考えた最強のジョブ設定」ならぬ「僕が考えた最強のビルドシステム」って夢はあるよ。だから今すぐ役に立たないかも知れないが「Jenkins実践入門」の10章やカエル本のCh.10やCh.11は知っておいた方がいいよね。
だが、しかし。「僕が考えた最強のビルドシステム」がJenkinsで作られる保証はないがの。うへへへ...。:-)
そんなわけで,「Jenkins実践入門」が良書なのは今さらいう必要もないので,ちょっと視点を変えてカエル本との違いをみてみました。
Jenkins実践入門 ?ビルド・テスト・デプロイを自動化する技術 (WEB+DB PRESS plus)
- 作者: 佐藤聖規,和田貴久,河村雅人,米沢弘樹,山岸啓,川口耕介
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2011/11/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Jenkins: The Definitive Guide: Continuous Integration for the Masses
- 作者: John Ferguson Smart
- 出版社/メーカー: O'Reilly Media
- 発売日: 2011/07/30
- メディア: ペーパーバック
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ps.
Jenkinsの開発スピードは衰えることはなく,ほぼ週に1回のペースでリリースされてます。そんでですね...
- プラグインのインストールに再起動が要らなくなりそうとか
- プラグインがRubyで書けるようになりそうとか
- (ちょっと毛色が違うけど)http://build-shokunin.org/ のデザインがいきなり変わっちゃうとか
などなど、より良くなるのは歓迎なんですが,反面ぐぬぬと思った人は私だけじゃ無いだろうなと思ってみたり。:-P